淡々と記録するよ

数多の星々の中のこの地球にあって

20170924

・論文h29憲法について

審査基準は何を理由に変化させていいのかがいまだによく分からない。いくつかネットで再現答案を見ると、原告が「妊娠出産は重要な権利だ」といって厳格審査基準を立て、私見では「たしかに外国人だからその処遇につき日本政府に裁量がある。しかしやっぱり、妊娠出産は重要な権利だから」といって中間審査基準を立てる、みたいな感じが無難なんですかね。出題趣旨を見ても、いきなり中間審査と書いてあって、厳格→中間への押し戻し方は示してくれてないですね。

(どこで習ったか知らない)私の理解では、審査基準は、権利の重要性と制約の強度を見て決めることになっているのだが、外国人の人権については「権利の重要性が一段下がる」(だから、審査基準も一段下がる)と考えてしまってよいのだろうか。しかしそれだとマクリーンの判旨(日本国民のみを対象とする権利以外は、外国人にも保障される)とは矛盾するようにも思える。だから、おそらく、上記のような、人権の重要度が下がるという捉え方は正しくないのだろう、となんとなく思うが、ここから先はよく分からない。

本問については、(a)妊娠・出産は端的に禁止されて人権制約であることに疑いがないものの、(b)その実効性確保手段が強制出国という政府の裁量が認められやすい手段になっているので、(a)(b)のどちらに着目して本件の合憲性を判断するか、という問題があるように思う。マクリーン事件は、学者の批判が強い、と聞いた覚えがあるが、それは同事件にも同じ問題があって、裁判所が思い切り政府裁量に寄せた判断をしたからだといえるのではないだろうか。百選6版解説(愛敬)によれば、マクリーンは昭和53年のやや古い判決であり、その枠組みは、具体的な審査を重視する現代的な変容をまさに今被っているところらしい。

審査基準論があるからそれで全部の事案をぶったぎれると考えるのではなく、判例に現れた事案を1個1個丁寧に頭に入れていくしかないということだな。目的・手段審査という審査方法はそもそも、様々な事情から設定されるべき審査基準を「目的と手段」という2要素の形に押し込める手法なのだから、当然、一つの基準の中にも様々な性質の権利に対する色々な態様の規制が同居することになるのである。問題は、裁判所も学者も私の頭の中の審査基準論に沿った形で判決を書いてくれないから自分で整理していく必要があるということですね。

受験生としては、今は1段落目の太字にした部分でとりあえず切り上げるしかなさそう。

・肢別民法もやりました。